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2009.03.06 (Fri)

風化する女 木村紅美

れい子さんは一人ぼっちで死んでいった。

43歳独身。会社の居心地も悪く、友達もいなかったれい子さん。
部署も違い、仕事上の接点は全くなかった私とれい子さんは、
一人でランチをとるために入る寂れた喫茶店で仲良くなった。

無断欠勤を不審に思った上司が、一人暮らしのアパートを
訪れたときは、すでに彼女は死んでいた。
そのことを知らせるメールを見ても、社内は何ら変わることなく
通常通り動いている。

私はれい子さんのことをあまり知らない。

しかし、他に仲の良かった人がいなかったこともあって、
私はれい子さんのアパートや、会社のロッカーの荷物の処理を命じられる。
そこで私は、誰も知ることのなかった本当のれい子さんを知る。
会社ではあまり存在感も派手さもなく、黙々と仕事をこなしているだけだった
彼女には、意外な一面があった。

彼女の会社のデスクの中から出てきた、北海道行きのチケット。
私はそれを手に、れい子さんが行く予定だったある場所へと向かう。


たった一人で死んでいき、会社の誰からも嘆かれないれい子さんと、
主人公の私は自分を重ね合わせる。
私にも会社での居場所がないからだ。
れい子さんは確かに風化していってしまうのだけど、
私の中ではいつまでも印象深く残っている。

孤独死、悲しいんだけど、自分のあとをこういう風に辿ってもらえたら
うれしいだろうな。
万人に覚えてもらってなくても、大切な人に覚えてもらえてれば
それでいいんだって思った。

読みやすくてすっと物語に入っていけた。
他に「海行き」収録。
次も出たら読みたい!

★★★★★


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