2009年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2009.10.31 (Sat)

結婚貧乏

「ロマンスの梯子」 平安寿子
「玉の輿貧乏」 宇佐美游
「オーダーメイドウエディング」 春口裕子
「森を歩く」 三浦しをん
「シンデレラのディナー」 内藤みか
「次はあなたの番ね」 真野朋子
「グッドマリアージュ」 森福都
「ぼくの秘めやかな年上の恋人」 松本侑子

結婚にまつわるアンソロジーです。

結婚して裕福になる人、結婚して貧乏になる人、
結婚して幸せになる人、そうでない人・・・。
一筋縄ではいかないのが結婚。だから失敗もするけど面白い!

「オーダーメイドウエディング」と「森を歩く」が好き。
私は結婚式・披露宴ってのをしなかったんだけど、
結婚式にここまで命を懸けられるっていうのはアッパレ。情熱がすごい。
結婚をしたいんじゃなくて、結婚式をしたいんだよね。
終わりまで読んでもう一度はじめに戻ると、清々しさまで感じれます。

これで「結婚なんて嫌」と思うか、「結婚っていいな」と思うか。
不幸な女たちも出てくるけど、私はやっぱり「結婚っていいな」と思ったのでした。

★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

スポンサーサイト
23:27  |  アンソロジー

2009.10.30 (Fri)

その街の今は 柴崎友香

勤めていた会社が倒産してしまい、カフェでアルバイトをしているわたし。
古い街の写真をなんとなく集めている。
ただ古い街であればなんでもいいのではなくて、
わたしが生まれ育った街、大阪のもの。

初めて合コンというものに参加してみた。
友達の智佐と行った初めての合コンは最低最悪で、飲みなおしに行った
クラブでわたしは良太郎と出会う。
久しぶりに泥酔してしまって記憶がないんだけど、わたしは良太郎と付き合うことに
なっていたみたい。でもわたしも良太郎もあんまり覚えてない。

ぎこちない始まりだったけど、2人は古い大阪の写真を通じて近づいていく。


最近お気に入りの柴崎さんです。
今回ものんびりしたリズムで進んでいく物語。
良太郎との関係も、鷺沼さんとの関係も決定打はない。
会社が倒産してアルバイト生活になってしまったのもなんとなくの流れだし、
これからバイトをずっと続けていくのかどうかも決めてない。
この「なんとなく」な感じが柴崎さんの魅力ですね。

ゆるさと伸びやかさ。肩肘張らない感じがいいです。

★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
18:22  |  柴崎友香

2009.10.29 (Thu)

アンテナ 田口ランディ

15年前のある夜、僕の妹・真利江は忽然と消えた。
死んだかどうかも分からない。ただ消失した。
家族は必死に探したが、いまだに真利江は見つかっていない。

7年前に父が死んだことをきっかけに、母は新興宗教にのめりこみ、
弟は精神に異常をきたした。そしてそれから僕は逃げた。
新潟で行方不明だった女児が9年の時を経て見つかったことで、
家族の真利江を探す旅が再び始まる。

僕は同じ研究室の藤村に紹介してもらい、SM嬢のナオミと出会う。
ナオミは僕を開花させる。
僕は1枚1枚剥がされて、やがて僕自身へとなる。


哲学・心理学・精神世界。
なんとなくモヤモヤとした気持ち悪さを感じながら、でも一気読み!
不思議な世界に引き込まれました。

人間は大地のアンテナ。

目に見えることだけが事実じゃないんです。
うまく説明できないけど、面白かった。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
14:01  |  田口ランディ

2009.10.28 (Wed)

ヘヴン 川上未映子

四月が終わりかけるある日、ふで箱をあけてみると鉛筆と鉛筆のあいだに
立つようにして、小さく折りたたまれた紙が入っていた。

<わたしたちは仲間です>

僕は苛められていた。それは僕の斜視のせいだ。
みんながロンパリと呼び、暴力をふるい、僕はそれをただただ受け止めていた。

手紙の差出人は同じクラスのコジマという女子だった。
そしてコジマもまたいじめを受けていた。
僕たちは手紙の交換を続け、学校の外でも会った。
僕たちは友達になった。


川上未映子さんの新作。図書館の予約がまわってこないので、
痺れを切らして久しぶりに自腹で・・・。でもこれが正解!
苦しいんです。いじめの描写っていうのはどんなタイプのを読んでも苦しい。
暴力は痛いし、嘲笑は悔しい。
弱者はいつも強者に怯えている。「悪」ってなんなんだ。

一番苦しく切なかったのは、最後の公園でのコジマのシーン。
コジマは強い。僕には強くなったコジマが眩しすぎたのかもしれない。

苦しみを、弱さを受け入れたわたしたちこそが正義なのだ。

僕は新しい世界を見て、新しい一歩を踏み出す。
でもそこにはもうコジマはいない。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

17:38  |  か行その他

2009.10.27 (Tue)

白い薔薇の淵まで 中山可穂

「その本、買わないんですか?」
飲み会の帰りにふらりと立ち寄ったその本屋で声をかけてきたのは
山野辺塁、私の人生を狂わせた女だった。

私は普通のOLで、喜八郎という恋人もいたし、ごくごく平凡な毎日だった。
でもそれは塁と出会った事で一変した。
塁は全力で私にぶつかってきた。
理性は吹っ飛び、本能で私たちは愛し合う。
快楽に身をゆだねるのも、激しい嫉妬に苦しむのも、
私にとってははじめてだった。

このままではきっとダメになってしまう。
そう思って別れても、私たちは本当に別れることはできなかった。


この人にだったら殺されたってかまわない。
そんな激しい愛情でぶつかり合う2人の女。
女同士なんだけど、そこには性別を超えた愛があって、
レズビアン小説、って感じは私はしませんでした。
本能で動いたとき、人はここまで強く、ここまで脆くなってしまうんだ。

激しさの中にある切なさに、胸が詰まりました。

喜八郎もいい男だったなぁ。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
20:57  |  な行その他

2009.10.26 (Mon)

図書館の女王を捜して 新井千裕

1年前に妻を事故で亡くした俺は会社を辞め、今は便利屋をやっている。
そこにきた一つの依頼。
指定された場所へ行ってみるとそこには美人の依頼人。
依頼人のサチエさんは、俺にデッサンのモデルを求めたのだけど、
画家に描かせたその絵には俺とは似ても似つかない人物が。
それはサチエさんの亡き夫ヒロミチさんだといい、ヒロミチさんの霊が
俺についているというのだった。

これは怪しい宗教の勧誘だったりする?
でも以前から交流のある盲目の少年、明も妙なことを言い出すし、これは本当?
そして亡き妻が通っていた図書館での蝶々の栞の行方は?


またまた初読み+図書館というキーワードです。
しょっぱなから霊能力者が出てきたりするけど、ほのぼのとしたお話。

せめて生きている間は面白い本を読んで、楽しい時間を持ちましょう
という奥さんの言葉が印象的。
犬のパピヨンもすごくいい!

ほのぼのだけじゃない、切ない部分もあってそこが良かった。
しみじみと「いい本だなぁ。」と思いました。

あとがきが長くて、その話のほうも惹かれます・・・。
あとがきというより、短編?
気になります。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

20:14  |  新井千裕

2009.10.25 (Sun)

ツクツク図書館 紺野キリフキ

町のはずれにある、「図書館」とだけ記された洋館。
筑津区にあるからそこを人はツクツク図書館と呼ぶ。
ツクツク図書館にはつまらない本しか置いていない。

そこで働くことになった一人の女。
女はとにかく着膨れている。
図書館には館長のほかに、「運び屋」や「戻し屋」、「語学屋」がいる。
女の仕事内容は、「ただ本を読むこと」。
つまらない本しかない図書館で、本を読み続けるなんて。
退屈すぎる!

ツクツク図書館にはいろんな部屋がある。
「おもらし短編小説の部屋」
「長老が死ぬ大長編の部屋」
「道に迷う小説の部屋」
などなど・・・。

女は働かない。館長に怒られたってへっちゃら。
でもあるとき戻し屋ちゃんから「伝説の本」の話を聞いて、
面白い本を求めて図書館を動き回る!


初読みの作家さんです。
つまらない本しか置いてない図書館なんて、逆に興味惹かれますねー。
不思議ワールドで面白かったです。

新しい街に引っ越してきて、私の生活必需品である図書館も変わりました。
今月オープンしたてのハイテク図書館で、行ってみて早速ビックリ!
綺麗で広いのもうれしいけど、利用者向けサービスがすごいです。
夜も22時までやっているので、これは活用しない手はない!

図書館も地域によってさまざま。意外に独自性があって楽しいです。
読書の秋、図書館通いにも拍車がかかりそう。

★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
22:07  |  か行その他

2009.10.24 (Sat)

コンビニたそがれ堂 村山早紀

風早の街の駅前商店街のはずれに夕暮れ時に行くと、
古い路地の赤い鳥居が並んでいるあたりで不思議なコンビニを見つけることが
あるといいます。

それが「コンビニたそがれ堂」
銀色の長い髪に金の瞳を持つお兄さんが待っています。
そのコンビニにはこの世では売っているはずがないものまでも売っています。
大事な探し物がある人にしかたどり着けないコンビニなのです。


そんな不思議なコンビニを訪れる人たちを描いた5つの短編。
子供も大人も、人間も動物も、みんな探しものを見つけていく。
なんとも優しいお話。
その優しさは小路さんっぽいかな。
多分児童書なんだけど、大人だからこそ読みたい1冊です。
ささくれだった心に効きます。

この中では「あんず」が一番好き。
うちの犬もあんずみたいに私たちのことを想ってくれていたら幸せだなぁ。

シリーズなので続けて読んでみます!

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
21:52  |  ま行その他

2009.10.23 (Fri)

主題歌 柴崎友香

実加は20代のOL。
かわいい女の子が大好きだ。
男性アイドルに熱を上げる女子とそれは変わらない。
会社の同僚たちも、友達も、意外に「かわいい女子」好きが多い。
そんな同士たちと話をするのが大好き。そこに幸せを感じる。

そんな実加とその仲間たちの日常を描いた作品。
なんてことはない。ほんとに普通の日々。
女子好きといっても同性愛ってわけじゃないし、
何もドラマチックな出来事は起こらない。
でもいいんです、これが。瑞々しさもあって。

私もかわいい女子大好き!
かっこいい男子よりもかわいい女子のほうがつい目がいっちゃう。
実加の家でやる「女の子カフェ」、すっごい気になります。
楽しそうだなぁ、私もやろうかな。

会話が関西弁なので、そこがまた一つの味になってると思います。
これが標準語だったら、全然印象が違うだろうな。

★★★★★





ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
20:45  |  柴崎友香

2009.10.22 (Thu)

黒いマナー 酒井順子

・おつきあいのマナー
・季節のマナー
・関係性のマナー
・危険なマナー

マナーって難しい。
若いうちは間違えたマナーは誰かが指摘してくれたけど、大人になると
あんまり指摘してもらえなかったりして、後で気づいて青くなるなんてこともあります。
で、やっぱり人のマナー違反も不快に思いながら指摘できない。

「黒い」マナーだけど、そんなに黒くはないかな。
うんうん、わかるっていうのがちらほら。

メールとか年賀状のマナー、注意のマナーは結構頷けました。
普段人に注意することってあんまりないから余計なのかもしれないけど、
人に何かを指摘するっていうのは難しいもんです。

人のフリ見てわがフリなおせ。
気をつけたいものです。

酒井さんらしい「黒さ」がもうちょっとほしかったな。

★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村


※今週引越しをして、まだネット環境が整わないのでまとめての更新となってしまいました。
しばらくは不定期になってしまいそう。でも見捨てないでくださいね(涙)

20:45  |  酒井順子

2009.10.21 (Wed)

パラダイス・サーティー(下) 乃南アサ

最近なんだか伸の様子が変だ。
仕事が忙しいのはわかるけど、それにしても態度がつれない。
もしかして結婚をほのめかしたのがまずかった?

一方菜摘は店の客である紘子に恋をしていた。
紘子の旦那はどう見ても堅気じゃなく、店でもいつも迷惑をかける。
紘子はそんな旦那に監視されていて、自由に行動すらできない。
菜摘はそんな彼女を自分の手で救い出したいと思いある行動に出るが、
そこで意外なものを発見してしまう。

「実業家」と名乗る伸の本当の仕事は?
菜摘は紘子を救い出せるのか?
そこには予想外の結末が待ち構えていた。


上巻に引き続きです。
夢見ていた伸との交際も順調だと思っていた栗子だったが、
そこには大きな大きな落とし穴!
その結末はこの話にしては結構衝撃でした。事がでかすぎるっていうか。

栗子の恋も、菜摘の恋も終焉を迎えることになるんだけど、
そこからは前向き。パラダイスな(パラダイスって…)30代を迎えるために
二人は一皮むけたのでした。

自分の不幸さを呪い、いつもウジウジしていた栗子の成長模様は爽快だったけど、
エピローグの鯨岡の話はいらなかったかも。
結局男を見る目がなかったってことなのか?

ともあれ30代の大台に乗ってしまえば、度胸もつくっていうことでしょうか。


★★★☆☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村


20:14  |  乃南アサ

2009.10.20 (Tue)

パラダイス・サーティー(上) 乃南アサ

大山栗子のその日は最悪な一日だった。
朝から痴漢にあうし、痴漢を撃退しようとしたら屈辱の一言を言われるし、
しかもそれを会社の同僚に見られていた。

30歳目前といえば、会社でもお局的存在。
上司から勧められた見合いは断られるし、もう散々だ。
それに加えて家族までが勝手気まますぎて、とうとう堪忍袋の緒が切れた栗子は
家を飛び出すことになった。

幼馴染の友人でレズビアンの友人、菜摘のもとに転がり込んだ栗子は
菜摘の紹介で一人の男性古窪伸に出会う。
一目見て体に衝撃が走った。一目惚れだった。
もしかして駆け込みで20代のうちに結婚できるかも!?
はやる気持ちを抑えつつ、栗子は必死に喰らいつく!


30歳を目前に控えた女性が主人公の話ってほんとに多いなー。
それだけ悩んだりする時期ってことなんだと思うけど。
崖っぷちの栗子はとにかく結婚したくてたまらない。子供もほしい。
自分より年下の女の子が寿退社をしていくのを指をくわえて見ている。
で、そんなときに現れた素敵すぎる男性。
なんとかものにしようとする栗子の執念は凄まじいものがあります…。

でも私は栗子の話よりは菜摘の話のほうが切なくて好き。
障害や偏見の多い同性愛者。その恋心のほうが切実。
苦しさが伝わってきてなんだか胸がつまってしまいました。

下巻に続く。

★★★☆☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
19:51  |  乃南アサ

2009.10.19 (Mon)

バニシングポイント 佐藤正午

今年40歳になるタクシーの運転手・武上英夫には3つの秘密があった。
それは口数の多い妻への些細な隠し事、英夫自身の独特な傾向、
そして3つ目は数年前の冬に起こった放火事件のこと。

秘密は英夫の妻も、妻の友人も、誰もが持っていた。
誰にも打ち明けられることのない秘密。
一つ一つの秘密は些細なことのようであって、それでいて重要だったりする。


7つの連作短編になっています。
希薄だと思われる人間同士が、意外なところで繋がっていき、
次々に話が展開していくところが、なんとも佐藤さんらしい作品。
1編1編はそんなに長くないし、大したことないように(失礼)感じるんだけど、
最後まで読み終わったときに納得、という感じのお話たち。

当たり前だけど、人と人っていうのは繋がっている。
そして秘密のない人間なんていない。
それがどんな種類の秘密であっても・・・。

★★★★☆




ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
19:29  |  佐藤正午

2009.10.18 (Sun)

この島でいちばん高いところ 近藤史恵

同じ高校の友達同士5人は、夏休みを利用して海へと出かける。
旅館は良かったけど、海岸は意外に狭いし、人が多くて窮屈。
旅館のおかみさんに、地元の人が行くという離れ小島を教えてもらい、
5人はその島へと行くことになった。

海水浴場とは違う海の色。少し離れただけなのに、そこはとても美しかった。
5人はそれぞれ海を満喫し、ちょっとのつもりの昼寝がついつい長引いて
帰りの船を逃してしまう。
その島で一晩を過ごすことになった5人は怖いながらも楽観的に
次の日に来るであろう船を待っていた。

しかし、無人島であるその島に、5人の他にも誰かがいる。
5人のうち1人減り2人減り・・・。
残されたのはとうとう2人だけになってしまった。
2人は無事に戻れるのか?
なぜ3人の友達は殺されることになってしまったのか。

多感な17歳の少女が大人に変わる瞬間を描いた物語。
ストーリー展開は若干ありきたりっていう感じも・・・。
青い海に似合わない残虐な殺人事件。
その理由がなんとも後味が悪い感じでした。
怖いというより不快感のほうが目立ってしまってます。
エピローグの10年後もなんだかなぁ、って。
ちょっと残念。

でも近藤さんのタイトルのつけ方はいつもうまいなーと思います。

★★☆☆☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
23:34  |  近藤史恵

2009.10.17 (Sat)

整形美女 姫野カオルコ

繭村甲斐子は「計画」を実行しようと、大曾根ドクトルを訪ねた。
「計画」とは全身美容整形だ。
ぱっちりの二重を腫れぼったい一重に、豊満な乳房を脂肪吸引で小さく。
類い稀なる「美人」の甲斐子は「ブス」へと整形したがる。

一方、同じ村出身の望月阿倍子は、甲斐子の写真を持って美容整形の門をたたく。
一重を二重に、鼻にシリコン、歯を4本抜きあごを削り、豊胸手術。
完璧な「美人」へと変身する。

違う顔を持つことになった2人は、それぞれの人生を歩んでいくが・・・。


姫野さん初読みです。
面白かった~!
簡単な目の手術を始めてから病的に美容整形にのめりこむ様と、
それによって変わっていく人生も面白かったけど、
「美人」とは何か?「幸せ」とは何か?っていう問題提起もあってすごく良かった。

泣くことよりも笑うこと、泣かせることよりも笑わせることのほうが
はるかに美しいのである。


美容整形は罪じゃない。本人がそれで幸せになれるのなら良いのだ。
それを隠したいと思ったとき、それが不実なものになるのだ。

「美人」って何なんでしょうねー。
美醜っていうのは人それぞれの感覚。
自分が幸せであれば、それは幸せな人生なんだな、と思いました。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
23:00  |  は行その他

2009.10.16 (Fri)

青葉の頃は終わった 近藤史恵

悪い知らせはいつも唐突にやってくる。
なぜかいつもより上機嫌だったその日、僕は瞳子が自殺したことを知った。
その瞬間に大事な未来や希望を失った。

僕たちは大学時代からつるんでいる仲間だった。
卒業してから5年がたち、お互いがそれぞれ別の道を歩み始めていても、
割と連絡を取り合って集まるような近い間柄だった。
でもそんな僕たちの誰もが、瞳子がなぜ自殺したかが分からない。
誰からも愛されていた瞳子がなぜ。

仲間それぞれが打ちひしがれ、悲しみにくれているころ、
僕のところにあるハガキが届く。死んだ瞳子からのハガキ。

そこには「わたしのことを殺さないで」とあった。

僕が瞳子を殺す?
学生の頃から瞳子に憧れて想い続けていた僕が?


死者から届くハガキ。そこに隠されたメッセージ。
ってところはミステリーっぽいんだけど、ミステリーというよりは青春小説として
読んだほうがしっくりくる感じです。

今回は瞳子に感情移入ができずに残念・・・。
愛情の押し付けに疲れる、っていうのもちょっと理由としては釈然としないところもあり。
20代後半の設定だと思うんだけど、それが10代だったり、逆に40代とかのほうが
合いそうな気もします。(と、エラソーに書いてみる・・・)

★★★☆☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
18:33  |  近藤史恵

2009.10.15 (Thu)

海峡の南 伊藤たかみ

祖父危篤の知らせを受け、僕とはとこの歩美は北海道へと向かった。

僕の父親は若い頃に逃げるようにして北海道を出た。
そこからは金儲けに身を委ね、失敗し、家庭も失ってしまう。
父親とはもう何年も音信不通。
生きているのか死んでいるのかさえわからない。

親類が一同勢ぞろいした北海道の地で、僕は父のことを考える。
なぜ父は北海道を去ったのか。
何を得て、何を失ったのだろう。

僕たちは親子だ。
父はいつまでも父。
父が父であることをやめるとき、父は自由になる。

ダメ父と僕との回想シーンと現在を交互に交えながら進んでいく物語。
あの時は分からなかった父の想いが、大人になった今なら分かる気がする。
自分のルーツをめぐる旅。

自分は父親とは違うと思っていた僕は、自分にもその血が流れていることを実感する。
あの人は僕の父親なんだって思い知らされる。
「血縁」って言葉が一番しっくりくる感じです。
もう会うことはなくても、どんなに離れていても、親子は親子。

僕と歩美の今後も気になるところ。

父親と息子の物語って、なんか好きなんですよね。

★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

10:00  |  伊藤たかみ

2009.10.14 (Wed)

ハミザベス 栗田有起

「ハミザベス」

二十歳の誕生日目前に、父が死に、不動産とハムスター一匹をもらうことになった。
父親とは私が1歳のとき以来、一度も会ったことがない。
死んだものだと思っていたのに、ふってわいた相続話。
花野あかつきと名乗る遺言執行者に呼ばれて、私は半信半疑で会いに行った。

特に欲しい物があるわけじゃなかった私の生活が少しだけ変化した。

「豆姉妹」

私と姉は同じ顔をしている。母親が「時間差の双子」と言うくらい似ている。
両親は私たちが小さい頃に離婚し、それぞれが再婚をした。
母親が再婚して少し経った頃から、私たちは2人で生活している。
まるでひとつのさやにおさまる豆のように。
私たちは豆ふたつぶの姉妹だった。

肛門科の看護婦をしていた姉は、SM嬢への転身を遂げた。
私は高校を卒業したら何になるか、まだ全然決められていない。


最近すっかりお気に入りの栗田さんです。
二つの話はどちらも両親が離婚していて、家族の変わったあり方が描かれています。

主人公は2人とも将来が定まっていない。
だって、何がしたいのかなんてわかんないよ、っていう素直な気持ちに
「うんうん、そうだよそうだよ」って妙に納得してしまいました。
何になりたいか、何になれるかなんて、私なんてこの年になってもわかんないし・・・。

でも読み終わると着実に一歩進んでる感じがしてしまうのが魅力です。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
16:44  |  栗田有起

2009.10.13 (Tue)

本当はちがうんだ日記 穂村弘

初対面の人にもズバリ「オーラがない」と言われてしまう穂村さん。
苦くて地獄の汁のようなエスプレッソが好きな穂村さん。

今はまだ人生のリハーサル。本番じゃない。

ってことで「本当はちがうんだ日記」です。

穂村さんのエッセイもこれで4冊目。
今まで読んだ中では一番古いものでした。

自意識過剰っぷりが激しい中二病な感じも、それを隠そうと必死なところも、
何でこんなに微笑ましく感じてしまうのでしょう!
もう既に「素敵レベル」高いですよ、私の中では。

「みえないスタンプ」「キムタク着用」「焼き鳥との戦い」「二月十四日」が特に好き。

10年も同じジムに通って友達ができない穂村さんが好きです。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
14:03  |  穂村弘

2009.10.12 (Mon)

Y 佐藤正午

八月の雨の晩にかかってきた一本の電話。
電話の相手はどうやら私の高校の同級生らしい。しかも親友だと言う。
でも、私にはその名前「北川健」が思い出せない。
大体、高校を卒業してから既に25年も経っているのだ。

その北川健なる人物の代理人という女性に連れられて銀行の貸金庫に
連れて行かれると、そこには1枚のフロッピーディスクと500万円の現金。
そしてある女性名義の預金通帳と印鑑。そこには9桁もの金額。
全く意味が分からない。

フロッピーの中身は物語だった。
北川健が生きてきた人生。
そしてそこには私も深く関わっていた。
過去に戻ってやり直したいと願った男の不思議な人生。
次第に私は北川健の人生に引き込まれていく。


「Y」のように二股に分かれた人生。
一つの電車事故をめぐって全く別の道へと動き出す。

これすっごく面白いです!
究極のラブストーリーとあったのですが、ラブストーリーっていう感じはしなかったです。
「時間の返し縫い」もしかしたら私たちにもあるのかも・・・と考えると
怖いような不思議な気分になります。
もしかしたら、別の時間の世界では、私たちは別の人生を歩んでるのかもしれない。

でも違う世界にいても、縁というのはあるものなのだ。

オススメです。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
21:35  |  佐藤正午

2009.10.11 (Sun)

床屋さんへちょっと 山本幸久

「このさき何が起こるかはわからない。
その不安に打ち勝つためには、今をがんばるしかない」

宍倉勲は父親から継いだ「シシクラ製菓」を潰してしまった。
個性的な父親と比べられた2代目。
頑張ってきたつもりだったけど、結局は従業員を路頭に迷わせてしまった。

勲はその後会社の整理をし、再就職する。
再就職した繊維会社で定年まで無事勤め上げ、ようやく勲は隠居生活に入った。

そんな勲の人生を、床屋さんという場所をはさみながら遡っていく連作短編。


生真面目な勲の会社人生を描いたこの作品、娘・香との会話もいい感じです。
子供は親の背中を見て育つ。
大事なところはきちんと受け継いでる。

結婚して子供を産んだら女性は仕事を辞めなきゃいけないなんて絶望的。
そんなことを言っていた香も、一人息子を育てながら自分の会社を切り盛り。
働くことの意味ってなんだろう?なんてことを考えさせられました。

床屋さんがいいスパイスになっています。

香メインの話があっても面白そう。

★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリック↓よろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
10:00  |  山本幸久

2009.10.10 (Sat)

brother sun 早坂家のこと 小路幸也

早坂家の三姉妹。
長女・あんず。次女・かりん。三女・なつめ。
早くに母親を病気で亡くしてしまった三姉妹は、父親に男手ひとつで育てられた。
今も母親の実家である古い一軒家で、三人仲良く暮らしている。

3年前、父は19歳も年下の真里奈さんと再婚した。
そして2年前には私たち三姉妹に待望の弟が出来た。
名前は陽。
あんず、かりん、なつめ、と果物の名前の三姉妹にちなんで。
太陽と果実は切っても切れない縁だから、ってロマンチストなお父さんらしい。

結婚式をしていない2人のために、三姉妹は2人だけの1週間の旅行をプレゼント。
姉妹総出で陽ちゃんの世話を引き受けた。
そんなときに突然我が家に訪れたのは、え?伯父さん?
長女のあんずは会ったことがあるらしいが、次女のかりんや、三女のなつめは
会ったこともない。なんと20年も音信不通だったというのだ。
本当の兄弟が20年も連絡を取り合わないなんて、何か事情があるに違いない。
おまけに伯父さんは「お父さんには絶対に言うな」なんて言うし。

お父さんと伯父さんの間に昔あった出来事って何だろう?
娘たちに言えない秘密とは、お母さんに関すること?


小路さんの新しい家族小説。今度は三姉妹。
古い一軒家、「きちんと」暮らす感が東京バンドワゴンシリーズと通ずるものがあってうれしい。
DVだったり、愛人だったり、っていうのもちょこっとだけ出てくるんだけど、
小路さんの手にかかるとこんなにサラっと(笑)
三姉妹のそれぞれの彼氏もいい人たちすぎるし!
やっぱり今回も悪人は誰一人出てこないのでした。

家族を思いやっていて、誠実に生きてる。
すごくまっとうなんです。
そこがいいところ。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!↓↓

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

10:00  |  小路幸也

2009.10.09 (Fri)

お縫い子テルミー 栗田有起

私の名前は鈴木照美。
名詞には『一針入魂 お縫い子テルミー』と印刷してある。
ミシンは使わない。正真正銘の、お縫い子だ。

小さい頃から学校も行かず、祖母・母とともに居候生活を続けていたテルミーは、
今は流しのお縫い子だ。
東京に出てきて働き始めた「キャバレー・モンシロチョウ」でシナイちゃんに出会った。
彼はステキな歌を歌った。
歌詞の意味も分からないし、知らない曲だったけど、それは身体によくしみた。
そしてテルミーはシナイちゃんのことが大好きになった。

女装して歌うシナイちゃんのために、テルミーは針を持ちドレスを縫う。
シナイちゃんは出来上がった衣装をとても喜んでくれるし、
居候もさせてくれるけど、女子に興味がないのかテルミーの恋は叶わない。

恋をしていると自由をうばわれる。
恋しい人のいない世界では住みづらくなる。
でも素晴らしい。


タイトルに惹きつけられました。
お縫い子ってなんぞや?と思ってたけど、一針入魂ってかっこいいなぁ。
欲深くなくて、都会にかぶれることもなくて、淡々と生きているんだけど
きちんと前に進んでいる照美に好感が持てました。まだ16歳!

栗田さんのこの淡々とした感じと、なだらかなストーリー展開に
すっかりファンになってしまいました。
穏やかに読めて、でもちゃんと物語の世界に連れてってくれて、
脳みそいっぱい使った日なんかは特に良さそうです。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
10:00  |  栗田有起

2009.10.08 (Thu)

ショートカット 柴崎友香

・ショートカット
・やさしさ
・パーティー
・ポラロイド
の4編収録。連作短編になってます。

離れていても会いたいって気持ちがあれば、必ず会える。
遠距離恋愛のつらさ、みたいなことよりも、
私はいつだって、どこへだって行けるんだっていう無限の可能性みたいな
ものが感じられて、読後感が良かったです。

日本だって、海外だって、行きたいところに行ける。
あ、そうだよな。って素直に思っちゃいました。
友達でも恋人でも、遠くはなれていたって、
会いたいと思えば会えるんだ。生きてれば。

共通して出てくる「なかちゃん」がいいこと言います。
ワープ、私もしたいです。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
13:00  |  柴崎友香

2009.10.07 (Wed)

たのしい・わるくち 酒井順子

他人の悪口って、いけないこと。
でもいけないことって、甘美なんですよねー。

・美人のわるくち
・やり手のわるくち
・大人のわるくち

の3部構成。
酒井さん独自の切り口で、「悪口」っていう本来なら咎められそうなことも
ここまで言ってもらえると逆にスッキリ!です。
私は男性からあんまり悪口っていうものを聞いたことがないんだけど、
やっぱり男性でも言うもの?ですよね?きっと。

でも悪口っていうのは断然女性に多いと思います。
仲間はずれにされるのが嫌っていうのもあると思うし・・・。
悪口なんて言ったことがないっていう人がいたらお目にかかりたい。

でも「たのしい・わるくち」だけあって、悪口特有の陰湿な感じとか不快感は
全然ないです。納得!と思えるのもあって面白い。

酒井さんの悪人っぷりに、わが身を振り返ってドキッとします。


★★★★☆



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
14:30  |  酒井順子

2009.10.06 (Tue)

憂鬱たち 金原ひとみ

私は悲しみのエキスパートだ。
私は苦しみのエキスパートだ。
私は憂鬱のエキスパートだ。
私は憂鬱に愛された女だ。

私、神田憂は今日こそ神経科の病院に行こうと頑張って家を出る。
でもなぜかいつも他の場所で他の事をしてしまって、たどり着けない。
謎の男、カイズとウツイに翻弄されて、私はまた憂鬱になる。
憂鬱は快感だ。


金原ひとみさんの久しぶりの新作。
7つの連作短編。
「蛇にピアス」のときも、その独創性にすっかりやられてしまったんだけど、
今回もまたやられてしまいました。

痛いんだけど傷口を何度も見たくなっちゃうような、不思議な魅力。
読んだあとジクジクと痛いような、この感覚が結構好きです。
怖いもの見たさ、みたいな感じかもしれません。

不思議な世界にトリップできます。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
15:23  |  か行その他

2009.10.05 (Mon)

横道世之介 吉田修一

新宿駅東口の駅前広場をふらふらと歩いてくる若者がいる。
それが横道世之介、この物語の主人公。
大学進学のために上京してきた世之介の、大学1年生の1年間と、
その20年後を一部交えた物語。

九州から上京したての世之介は、早速大学の入学式で友達を見つける。
そしてなぜかサンバサークルへと入部し、バイトをし、女の子と付き合い、
ごくごく一般的な大学生の、ごくごく一般的な大学生活。

舞台が1980年代後半なので、バブルな感じも楽しい。
大学の入学式、私も武道館だったので、思わず懐かしさがこみ上げてきました。
大学生ってすごい楽しそうなイメージだったんだよな。
私は全然真面目に通わないダメ学生だったけど。

初めて友達になった倉持と阿久津が家庭を築くことになったり、
不思議なお嬢様祥子にやたらと気に入られたり、小さな出来事がいくつか
起きつつ、世之介自身はあんまり変わらないところが良かったと思います。

大きな事件が起きることもない話なんだけど、すごく楽しめました。
公衆電話を使うシーンが、なんだか時代の流れを感じちゃいました。
(今、公衆電話って全然見かけないですよね)

ラストの世之介の終わりも、世之介らしさが出ていて良かった。
まったくバカだなぁってみんなが悲しみながらも笑ってくれるような。

楽しみにしていた1冊が期待以上で嬉しかったです。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
12:33  |  吉田修一

2009.10.04 (Sun)

刻まれない明日 三崎亜紀

10年前に忽然と消えてしまった3095人の人々。
でもいないはずの人々の息吹はその街にはまだ残っていた。

-存在するはずのない図書館から借りられる本。
-ラジオ局に届く失われた人々からのはがき。
-響き渡る今はもう無い鐘の音。
-席を空けて待ち続けているレストラン。
-「開発保留地区」行の幻のバス。

しかし、10年たった今、それらの不思議な現象が一つ一つ姿を消していく。
消えてしまった人と残された人。
それでも世界は続いていく。

失われた町が息づく街を舞台に描く待望の長編

とあったので、勝手に続編かと思っていたんですが、ちょっと違いました。
リンクしている部分はあるんだけど、これはまた別の物語。

失われた人たちの思い出を抱えながら生きていかなければならない残された人たち。
思い出をただ封印するだけじゃなくて、思い出とともに生きていくという姿に感動しました。
どんなにつらいことがあっても、人は生きていかなければならない。
だから「忘れる」んじゃなくて、「一緒に」生きていく。
誰かを失った悲しみは決して消えたり風化したりしないけど、
それはそれでいいんだ。

前に進む勇気をくれるような本でした。
失われた町とともにぜひ。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
16:06  |  三崎亜記

2009.10.03 (Sat)

ふたつめの月 近藤史恵

七瀬久里子は今日も朝から時間を潰すことに頭を悩ませていた。

1週間前、働いていた会社、しかも最近正社員になれたばっかりの会社から
突然の解雇を言い渡された。
契約社員からやっと正社員になれて、自分も家族もとても喜んでたのに。
家族にも友達にもこんなこと言えない・・・。
友達以上恋人未満の関係である弓田譲は、調理師になるため
イタリアに旅立ってしまったし。

そんなとき、元の会社の同僚から信じられない言葉を耳にする。
会社では久里子が自分から会社を辞めたことになっているというのだ。
人員整理のためにリストラされたはずなのに、他に辞めた人は一人も
いないという。しかも、正社員になってから辞めるなんてと部長は怒っていた?
そんなはずはない。
でも話を聞いているうちに、久里子は誰かによって辞めさせられたということがわかる。


賢者はベンチで思索するの続編です。
今回も3つの連作短編。
久里子がロンドを辞めて、自分のやりたいことに近い職業にやっと就けたのに、
不意にリストラされてしまう、というところから始まります。

赤坂老人(=国枝)と数年ぶりに再会した久里子は、またまた助言をもらいながら
立ち直って前に進んでいく物語。
最後に赤坂が守りたかったものが分かります。

今回も犬のアンとトモがいい味出してます!
人間が悲しんでたりすると、動物って分かるんですよね・・・(涙)

弓田くんとの恋の行方もあり。
中学生みたいなウブっぷりが微笑ましい2人です。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
11:30  |  近藤史恵

2009.10.02 (Fri)

賢者はベンチで思索する 近藤史恵

七瀬久里子、21歳。
服飾の専門学校を卒業した久里子は、希望する就職先が決まらず、
ファミリーレストラン「ロンド」でウェイトレスのバイトをしている。
このままでいいのかな、という漠然とした思いを持ちながら、
なんとなくな毎日を過ごしていた。

ある日バイトに行くとバイト先の同僚、美晴から「犬飼わない?」と言われる。
公演で子犬を拾ったらしいのだが、美晴の家はペット禁止で飼えない。
そこで一軒家に住む久里子に白羽の矢がたったのだった。

家に帰って両親に相談してみると意外に乗り気で即OKが出た。
早速そのことを美晴に告げた久里子は、その子犬がもう死んでしまっていたことを
知る。ここ最近近所で毒入りダンゴを食べた犬が死ぬ事件が続いているという。

すっかり気落ちした久里子は、その日フラフラと公園のベンチに腰掛けた。
その様子を見て声をかけてきた一人の老人、国枝。
国枝はロンドの常連さんだった。
年齢不詳で、古新聞や古雑誌を読みながら、コーヒーだけで何時間も粘る老人。
その不思議な国枝に出会ったことで、久里子の日常が少しずつ変化する。

3つの章でそれぞれ事件が起きて、そのたびに久里子は国枝老人の助言を受け
事件を解決していくストーリー。
しかし、久里子が信頼していた国枝は、本物の国枝じゃなかった。

読みやすくてあっという間に読み終わってしまいました。
20代特有の悩みだったり思いが細かく描かれていて、ちょっと懐かしさも。
ミステリーとしても面白いです。
私が犬を飼っているから余計なんだけど、犬がいる生活の描写も良かった。
アンが病院に運ばれるところなんて、自分の事のように泣きたくなってしまいました。

タイトルもステキです。

続編があるので、明日は続編をご紹介します。

★★★★★



ランキング参加してます。応援クリックよろしくお願いします!
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
10:10  |  近藤史恵
 | HOME |  NEXT
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。